ゴールデン・カップスは大島渚監督から、映画主演を打診されたという話もあったそうです。台本を読んでみると、平尾さん以外は棒読みになってしまったり、ケネス伊東さんはまだ日本語が苦手で漢字が読めなかったりで、実現しなかったのです。ちなみに、ケネスさんはグループ結成時はまだワーキング・ビザを取得していなかったので、一時脱退、ゲスト参加という形をとっていました。(セカンド・アルバム「ザ・ゴールデン・カップス・アルバム第2集」のジャケットに映っていません)
さて、その映画「日本春歌考」(1967 大島渚監督)は、荒木一郎さんを主演に串田和美さんなど自由劇場のメンバーを高校生グループの役にあてました。吉田日出子さんも印象的な役で出ています。大島監督は「自分の映画のキャスティングの中でももっとも面白いキャスティングになった一本」と語っています。
その荒木一郎さんの自伝「まわり舞台の上で」(荒木一郎・著 文遊社)が今年出ました。
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自伝と書きましたが、形式はインタビュアーの質問に荒木さんが答えていくというもので、音楽、映画、小説など各分野での活躍の軌跡が詳しく述べられています。
とにかく、そのマルチな才能には驚くばかりです。高校生時代を自伝的につづった名作「ありんこアフター・ダーク」(荒木一郎・著 小学館文庫)にも驚きましたが、この小説で書かれているのは当時の荒木さんのほんの一部分だったのです。それと同時進行でNHKのドラマ「バス通り裏」に出演。その頃から演出家に言われて台本を書き直したり、自分の出ている所はカメラ割りまで決めていたといいます。当然、そういった傍若無人さは軋轢を起こし、NHKからは4回も出入り禁止をくらったそうです。
その後、映画俳優となり、数々の出演作について回想されてますが、「白い指の戯れ」(1972 村川透監督)の有名なタバコを吸いながらのベッド・シーンの話など、自分の演技を自分で演出されている感じです。そういった全体を見れる視点が、もうひとつの重要な顔であるプロデューサーとしても活きているのでしょう。
シンガーソングライターの走りでもある荒木さん、もちろん音楽についての興味深い話も満載です! 562ページの大著ですが、荒木さんの語り口が面白くてアッという間に読めてしまいます。
(ジャッピー!編集長)