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今年6月14日に白川由美さんが亡くなりました。享年79歳。最近までテレビドラマに出ておられたので急逝のニュースには驚きました。
東宝特撮映画で育った世代としては、よく出演されていた白川さんは「大人の女性」というイメージでした。「美女と液体人間」(1958 本多猪四郎監督)ではギャングに拉致され、地下の下水道内を引っ張りまわされますが、その時の白いシミーズ姿には子供心にもドキドキさせるものがありました。その頃の白川さんはまだ22歳、こっちが子供だったとはいえ、ずいぶんと大人っぽく見えたものです。今の22歳と言ったら、まだ「女の子」という感じですものね。容姿というより、精神年齢みたいなものが「大人っぽさ」にあらわれると思いますが、相対的に世の中が子供っぽくなっていますね。
白川さんの映画で印象に残っているのは、「おれについてこい!」(1965 堀川弘通監督)です。前年の東京オリンピックで金メダルを獲得した女子バレーボール、「東洋の魔女」と呼ばれたチームを率いた大松博文監督の著書を基にした映画です。大松監督を演じたのは、ハナ肇さんで、この役のために5キロ痩せたそうで好演しています。白川さんはスラリとした長身を活かして主将・河西昌枝さんに扮しました。白川さんは1年仕事を休んだあとの復帰作で、実際に河西さんから回転レシーブの指導を受けるなど役にうちこみ、その甲斐あって、劇中もちゃんとバレーボール選手に見える熱演でした。
映画は、チームの様々なエピソードがうまく使われています。いよいよ決勝の当日、試合会場に向かうバスの中、すっかり緊張してしまっている選手たち。「歌でも唄え!」と監督が言ってもダメ。そんな重い空気の中で、白川さんが「あ、あんなのまだやってるんだ!」とバスの窓から「ウエストサイド物語」のポスターを指さします。実は、猛練習に明け暮れる日々で選手の体力、精神の疲労がピークになって、選手代表が監督に「1日練習を休みにしてください」と直談判(この時、「団結」と書いたハチマキしているのが面白い)、監督もOKして、皆で観に行ったのが「ウエストサイド物語」だったのです。大松監督も行ったのですが映画館の中で爆睡……こんな思い出話でバスの中の緊張はほぐれるのでした。
いよいよ試合開始でコートに入場していく選手たち。そのあと、ゲームのシーンはなく、ボールがひとつポツンと置かれた控室が映され、そこに勝利のアナウンスが流れ、チームの戦績がテロップが入るラストも素晴らしいです。
河西さんは2013年に亡くなり、演じた白川さんも亡くなりました。ご冥福をお祈りいたします。
(ジャッピー!編集長)