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今日の朝刊に「兵庫県伊丹市の河川敷で両腕、両脚が見つかった事件で、さらに付近で成人男子の頭部と胴体が切り離されて埋まっているのが新たに見つかった」というニュースが出ていました。周辺には目立った血痕はなく、別の場所で切断され運ばれた可能性が高いと警察の見解も出ていました。
この記事を読んで思い出したのが、「OUT」(2002 平山秀幸監督)です。原作は桐野夏生さんのミステリーで、弁当工場で深夜バイトについている女性たちが、同僚の一人が殺害してしまった男をバラバラに切断して棄てるという話なのです。西田尚美さん演じる妊婦が、バカラ賭博にはまり家庭をかえりみない亭主(大森南朋)を衝動的に絞殺、困った西田さんは、同僚の原田美枝子さんに助けを求めます。原田さん演じる女性は、しっかり者で周りのバイト女性たちに金を貸して容赦なく取り立てたりしています。何事もきちんとしてこなす女性ですが、それゆえか周りからはうっとおしがられていて、失業中の夫ともうまくいっていないし、子供は口もきいてくれません。死体処理に切羽詰まった原田さんは職場の先輩・倍賞美津子さんを金でつって協力を頼みます。原田さんの家の浴室で二人が死体を切断するシーン、最初に頭部を切断するとき、当然ながら自分たちがやろうとしていることのおぞましさに吐いたり躊躇するのですが、それを越えちゃうと何だか普通に作業しちゃっているのがブラックな笑いを誘います。硬直した腕を伸ばそうと苦労している原田さんに倍賞さんが「引いてもダメなら押してみな」と言ったり、流れ作業的な処理に「何だか弁当作っているのと変わらないね」と言ったり。そこに訪ねてきたカード破産している室井滋さんも巻き込んで死体をバラバラにして、いくつかのゴミ袋に小分け、「師匠(倍賞)は5つね」、車で来た室井さんには「あんたは20個持っていって」と持ち前の「仕切り」でテキパキ指示する原田さん。
悪徳金融の香川照之さんにかぎ付けられるも、原田さんは堂々と渡り合い、逆に香川さんをして「いけてるねえ…」と言わしめて、ヤクザ組織の死体処理の仕事を持ち掛けられます。このとき、原田さんと香川さんはアイススケート場で密談しているのですが、この「仕事」を500万円で引き受けたと原田さんがスケート靴をはいて、スーッとリンクを滑っていきます。このときの原田さんの表情が素晴らしい‼ 家庭や日常の中で抑え込まれていた「自分」、その状況を突破する可能性が動き出す喜びと期待が入り混じった実にいい表情をするのです。すぐれた原作を持った映画はどうしても分が悪くなりますが、このシーンの原田さんの表情、演技は映画ならでは。ここを観るだけでも、原作に負けてないといえます。 (ジャッピー!編集長)